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令和4年度 福島県林業研究センター・県中農林事務所による「野生きのこ研修会」報告
(令和4年9月)

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令和4年(2022年)年9月29日(木)に郡山市高篠山森林公園で野生きのこ研修会が行われました。
福島きのこの会から数名の会員が講師で参加しました。

研修には福島県林業研究センター15名(2名欠席)、県中農林事務所7名(1名欠席)、計22名の方が参加されました。
サイト管理人の私は講師の一員のため、撮影がほとんどできませんでしたが、会員のK氏が要所要所で撮影してくださったので助かりました。掲載された研修風景の写真は、ほとんどがK氏撮影によるものです。
当日は数日間にわたり降雨が無かったため、林床はかなり乾いた状態でした。そのため採取種数が53種と少ない状態だったのが残念です。 研修内容は、 (1)研修の注意点、野生きのこの採取時の留意点等  (2)野生きのこの採取 (3)キノコの世界と野生きのこの分類方法について <昼食(各自)>(12:00〜13:00)(4)野生きのこの分類・同定作業 (講師:福島きのこの会会員)(5)毒きのこと食用きのこの特徴と見分け方について (講師:福島きのこの会会員)   閉会・解散(15:00)でした。 観察されたきのこは「担子菌類  ハラタケ綱  28 科  53 種」でした。採取されたきのこの中ではホンシメジ、スリコギタケが珍しい種と思います。ちなみにスリコギタケを採取したのはの当サイト管理人の私ですが、迂闊にも写真を撮るのを忘れてしまいました。猛省です。しかし、福島きのこの会のT氏がしっかりと撮影していました。いつもながら感服です。下記のオオツルタケとスリコギタケ、ホンシメジはT氏が撮影されたものです。ちなみにスリコギタケはその名のとおりすりこ木に見えるところから命名されたようです。秋に広葉樹の林床に発生し、通常は10〜20cmの高さになるそうです。似た種に頂部が平坦なスリコギタケモドキや小型のコスリコギタケがあるようです。また、オオツルタケもあまり見ない種です。ツルタケに似ているのですが、ひだに暗灰色の縁取りがあり、柄にだんだら模様があり、柄の基部は地中深く入るのが特徴とされています。今回採取されたオオツルタケも柄基部が地中深くにあったので、研修参加者の方は採取に苦労されていました。ホンシメジは最近栽培されて市販されています。「匂いマツタケ味シメジ」といわれ、味はマツタケより美味しいと言われているきのこです。 イグチ科のきのこは、たったの1種でかなり老成していたのですが、T氏同定によりツブエノウラベニイグチとのことでした。このきのこはあまり見ない種で、傘はくすんだピンク色で、黄色の繊維状鱗片を被り、柄は黄色の地に赤色の細鱗片が点在しています。管孔は黄色で孔口が赤いのが特徴です。 研修の講義では、きのこ採取時の注意点やきのことは何か、きのこの同定に必要な各部位についての解説、きのこの種名の調べでは「属」を知ることの解説、誤食の多い毒きのこや最近話題のカエンタケなどを解説しました。林業研究センターや農林事務所の職員の皆さんが、仕事に生かすために研修を受けられているので、講師の解説にメモを取りながら熱心に聞き入っている人が多く見られました。
以下は当サイト管理人の個人的感想です。 残念なのは講師解説時間が、合計で1時間10分のためきのこの部位解説やきのこの見分け方の解説が、ほんのさわりしか解説できなかったことです。今回参加の皆さんは熱心な方たちが多かったので、参加者の有志の方達で冬季間に数回の座学講座を希望されることを期待したいです。
今回採取されたオオツルタケは参加された福島きのこの会会員(管理人の私も含めて)全員一致でオオツルタケとしました。ただ、ひだに暗灰色の縁取りが確認できないこと、柄のだんだら模様が明瞭ではないことから、ひょっとすると別種あるいは変種の可能性もあるのではと考えています。
1.研修開始前の担当者挨拶 2.福島きのこの会講師によるきのこ採集時の注意点など解説 3.講師の解説をもとにきのこを丁寧に採取中です
4.講師指導の下
1人の方が採取しているのを、他の方が見学しています。
5.きのこを一つずつ入れるためにビニル袋を用意していました。
ビニル袋は適さないのですが…今回は多人数なので
6.熊対策である程度グループになってきのこを採取しています
7.きのこの発生が少ないこともあり、倒木も丁寧に観察していました 8.見つけたきのこを採取前によく観察しているところです 9.採取完了後に福島きのこの会講師による「きのこの成り立ち」」や「きのこの各部位」の解説中です
     
10.採取したきのこを観察台に並べているところです 11.採取したきのこを研修参加者が、図鑑を参考に同定開始です  12.左と同様に研修参加者がきのこの同定中です 
   
13.きのこの種同定中に福島きのこの会講師(右端)よりアドバイス中です  14.種同定の後に福島きのこの会講師による「きのこの調べ方及び毒きのこ」について解説中です 15.講師の話に熱心に聞き入っています。姿勢が良いのが驚きです 
 以下の画像は今回採集されたきのこの一部です
     
ホウキタケ属の一種 カレバキツネタケ カワリハツまたは類似種
キヒダフウセンタケ キヒダフウセンタケやキンチャフウセンタケなど候補が上がったフウセンタケ属 コテングタケモドキ
   
シャカシメジ チチタケ ウラベニホテイシメジ
   
オオツルタケ(T氏撮影) スリコギタケ(T氏撮影) ホンシメジ(T氏撮影) 
今回の観察台のきのこ撮影は、福島きのこの会ウェブサイト管理人の私が、カメラの露出を間違えるという大失態を犯してしまいました。そのため、きれいな写真が少ないのはご容赦願いたいです。