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令和5年度福島きのこの会 川内村いわなの郷のきのこ観察会報告
(令和5年10月)
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 令和5年(2023年)年10月7日(土)に川内村いわなの郷できのこ観察会が開催されました。
 いわなの郷の観察会は毎年9月下旬か10月上旬に開かれている観察会で、センボンキツネノサカズキ(Microstoma aggregatum Otani)の発生状況の確認が主たる目的で開催されています

センボンキツネノサカズキは北海道の一部と福島県川内村のいわなの郷でしか確認されていない極めて貴重なきのこです。これ以外の外国を含む地域では未だ未確認と言われています。
 毎年定期的に観察会を行うようになった経緯は、2019年にセンボンキツネノサカズキの発生場所一帯を、皆伐に近い伐採が行われたために、その翌年から発生状況の確認を続けています。詳細は「研究・調査・報告」のページでご覧いただけます。「研究・調査・報告」のページクリックすると詳細ページが開きます。

 センボンキツネノサカズキは例年9月下旬に幼菌となり10月上旬に傘が開いた状態の成菌が見られてきました。しかし今年は参加者全員で探してもセンボンキツネノサカズキをなかなか見つけられず、いよいよ環境悪化によって絶滅したのではと危惧しながら探していました。かなり探して回って「今年はだめかも」とあきらめかけた時に、やっと落枝程度の太さの伐採木に発生を確認することができました。見つけた時はHa氏が「あったーっ!!」と大きな声をあげ、周辺から集まった会員の皆さんは、とても嬉しそうな顔をしていたのが印象的でした。発生した状態を見ると、まだ幼菌で傘が開く前の状態でした。ひょっとすると今年の猛暑で発生がかなり遅れ、これから発生するのではと期待させられました。ただ、周辺の環境はさらに悪化が進んでいるように見受けられたので、楽観は禁物だろうとベテラン会員の皆さんは危惧されていました。  センボンキツネノサカズキ以外のきのこの採取数は43種で、いわゆる軟質菌は18種とかなり少ない状態でした。雨の降らない日が続いたので林床はかなりカラカラに乾燥し、採取したきのこはどれも乾燥気味でした。  今回採取した中でベテラン会員の皆さんの目を引いたきのこはシラウオタケでした。ただ、残念なのは鑑定会場では白色で先端が赤みを帯びたきれいな状態だったのですが、持ち帰ってその日のうちに標本撮影をしたのですが、既に乾燥し変色していました。持ち帰り方に工夫が必要と思いました。
今回もこのサイトの管理人の私は、センボンキツネノサカズキとその後のきのこ探しで、会員の皆さんたちの写真をほとんど取れませんでした。
1.集合時間より早めについた会員たちが待っているところです 2.ベテラン会員と有望な若手会員が情報交換中です
3.事務局のH0氏の説明の後、会長が挨拶中です 4.採取菌を鑑定台に並べ中です。この後昼食をはさみ鑑定を始めました
5.鑑定終了後にテーブル、椅子の片づけ、床の掃除など終了し、会長挨拶のあとに解散でしました

以下の画像は今回採集されたきのこの一部です
   
1.センボンキツネノサカズキ(剪定木の太さは10cm前後でした。この剪定木飲みで発生が確認され、5株ほど発生していましたが、株の大きさは最大のものでも20cmほどでした)
 
2.ムササビタケと思われるきのこ 3.ヒロヒダタケ(かなり乾燥気味です) 4.ナラタケ(大量に発生していました。今年はナラタケ、ナラタケモドキの当たり年のようです)
 
5.シイタケ(これも乾燥気味でした)シイタケが採取されたことに皆さん驚いていました 6.カラカサタケ(こちらも乾燥気味です) 7.ムジナタケ
 
8.キヒダフウセンタケ? 9.キンチャフウセンタケ(乾燥気味でした) 10.ヌメリイグチ
11.チョウジチチタケ類似種(におい無し) 12.タマネギモドキ 13.ホコリタケの一種
 
14.ホウキタケの一種 15.ホコリタケの一種? 16.ハナビラニカワタケ(乾燥し褐色変していました)
   
17.ホウロクタケ 18.カイガラタケ 19.シラウオタケ(本来は白色ですが乾燥して褐色変しました)